活用と姿勢のポイント
Tobiiは「視線で操作する」センサーです。姿勢と画面位置の影響が大きい一方で、意思表示・眼球運動・「見続ける力」など、視線ならではのねらいに幅広く使えます。全国の実践をもとに、活用のバリエーションを深くご紹介します。
ねらい別の活用早見表
| ねらい | 例 | 工夫のポイント |
|---|---|---|
| 意思決定・覚醒を促す | 視線入力全般 | 画面の前で覚醒・真剣な表情に。お絵かきツールで視線で「描く・選ぶ」 |
| 眼球運動(上方向) | 恋するチンアナゴ | 画面の上方にいる対象を追う。好きな題材で誘導 |
| 「見続ける力」を育てる | 虫コレ など | 自由に動く対象の方が興味を引きやすい |
| 自己客観視・目標設定 | 忍者でドロン(視線) | プレイを動画に撮り、一緒に振り返る |
| ICT操作・コミュニケーション | 視線入力ツール | 視線でのコミュニケーション手段の獲得・継続 |
PCの設置と姿勢のポイント
Tobiiは姿勢と画面位置で反応が大きく変わります。
- PC画面は顔の高さに:画面が低いと視線が下向きになり感知しにくくなります。PC台や箱で高さを調整してください。
- 座位が難しい場合:顔の正面にセンサーが来るよう、PC固定具(アシストスタンド等)を使用します。ベッド上やリクライニング車いすでも利用可能です。
- 距離の目安:Tobiiから50〜95cmほど離した状態での利用を推奨します。


キャリブレーション後は姿勢を変えない
座りなおすと感知がずれます。アプリ開始の直前に実施しましょう。実施中・プレイ中にプレイヤーの背後に回ると、介助者の視線を感知することがあるため、後ろから介助する場合は立って行ってください。
好きな題材で「ねらい」へ導く
在宅などでは「やりたいこと中心」になりがちです。本人の好きな題材(海の生き物・虫など)を入り口にすると、セラピストのねらいへ自然につなげられます。
導入の順番に注意:先に強い好み(例:車)のアプリで遊んでしまうと「車の方がいい」となり、別アプリのモチベーションが下がります。ねらいに合うアプリから入るのがおすすめです。
眼球運動を引き出す
側弯症や伸展活動が苦手なお子さんは、眼球の上方向の動きが苦手な傾向があります。画面の上方にいる対象(恋するチンアナゴなど)を追う遊びで、上方向の眼球運動を引き出します。
低い位置でも反応してしまうとき:胴体の下あたりの低い位置でも反応すると、上方向の運動範囲が広がりにくくなります。「頭の方までしっかり見よう」と声をかけたり、アプリ・設定を調整して、ねらう方向の動きが出るようにします。
「見続ける力」を育てる
「自分でテレビや動画を見続けられない」お子さんに、好きな題材で画面を見続ける練習として活用できます。まっすぐ動くものより、自由に動く対象の方が興味を引きやすい傾向があります。
難易度の調整
うまく反応しないときは、注視時間を0.3秒以下など短く設定し、徐々に延ばす、オブジェクトやポインターを小さくしていく、といった形で少しずつ難易度を上げると効果的です。小さなドットを見続けるのが難しい場合は、Escキーでキャリブレーションを途中終了して構いません。
パソコン操作に使う場合
Tobiiでパソコンを操作するには「見るマウス」等の専用ソフトのインストールが必要です(操作の難易度は高めです)。
現場の実践に学ぶ(活用事例)
- 重症心身障害児への活用(視線で覚醒・意思決定支援)
- 訪問事業での活用(眼球運動・見続ける力・好きな題材)
- 特別支援学校での活用(視線で自己客観視・目標設定)
活用のヒント(まとめ)
- Tobiiは姿勢と画面位置が命。顔の高さ・距離・キャリブの直前実施を徹底する。
- 好きな題材を入り口に、眼球運動や「見続ける力」へ導く。
- 注視時間・対象サイズで難易度を少しずつ上げる。